十八時の音楽浴―漆黒のアネット

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コミカル6萌え2SF2
ゆずはらとしゆき十八時の音楽浴―漆黒のアネット (ガガガ文庫)小学館,2007
ゆずはらとしゆきさんの作品感想



海野十三さんの作品を現代的に翻訳した「跳訳」シリーズ。
第一章 火葬国風景」亡き妻に会いたくないかいという非日常的な誘い文句と鼠谷のはぐらかしの話術がふわふわしてます。ぼんやりとした朝霧の中で黒い点がゆらゆら漂って誘ってる感じ。
目的もない歩みなので、ついて行くままに迷い込み、幻想的ではかないイメージの雰囲気が漂っている場所にたどり着きます。なのに、どうにもきたなくて存在感もある場所。
ライトノベル的にキャラはアレンジしてあるそうなので、この不安定さはそれが原因なのかな〜。それとも原作からしてそうなのかしらん。肉感があるんですよね。いや、もちろんリアルとかそういう意味じゃありませんけども。


第二章 十八時の音楽浴」研究所の所長であり天才少女・コハクの人を食った性格が、好き嫌いに関わらず光っています。
個人の趣味に走ることさえも束縛されており、厳密には死ぬことさえも許されない国が舞台……昔だったら探偵小説がこういうホラ話を包み込んでいたのでしょうが、今だったらエロゲーですよね。
エロがあればなんでも許容されるから、色んなベクトルの作品が生まれるという意味で。まあこの物語にもいやらしい描写はありますけどね。レズだったりロリだったり性そものをいじくったり。
音楽浴ではありませんが、読むと脳みそが勝手に自転を始めちゃいますよ。エロゲーの中でも変な話が好きな人と親和性がある物語です。


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