オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White (1)

オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White (1)  Amazon
燃える4コミカル3癒し3
冲方丁オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White (1)(角川スニーカー文庫 200-1)角川書店,2007
シリーズ感想
冲方丁さんの作品感想
スプライトシュピーゲルと同じ世界で描かれる遊撃小隊の物語。
スプライトと同じく過酷な境遇の少女たちですが、明るい彼女たちはそれを感じさせません。そんな一人一人の過去の部分にスポットを当てていく形で、三話収録されています。
スプライトでは謎かけが導入部となっていますが、こちらでは少女三人が副長を寄ってたかって玩具にする形式。こういうお約束な展開は好きです。


煙草を吸い込み気だるげに、本能の赴くままに動く黒犬・涼月。斜に構えた態度で、敢えて舐め切った発言をする紅犬・陽炎。脳内花畑のために、楽しげに物騒な歌を口ずさむ白犬・夕霧。この三人がまた魅力的なのです。
接続官に自分の前で裸になるよう強要したりとか、涼月の気ままな態度はたまにやりすぎて自爆しているところもあるっぽい。そして、呟きには摩訶不思議な言葉が多いけれども、多分本気で言ってるだろうから痺れます。
陽炎は絡め取るように策を巡らし、でも計画外のことが起きたときの動揺が愛らしいです。特に何もしていないのに、居場所を手に入れてしまった後のオチとか。比較的順当に萌えれます。


夕霧は涼月、陽炎両人の精神的な拠所となっているような印象。夕霧との温かい記憶がわりと登場するからかな。捻くれ者の二人を支えてやって欲しいものです。
そんな三人の会話では「虫味のハーゲンダッツ」から「哲学度」に至る流れはツボ。一見すると脆い部分なんてなさそうなんですけどね。