時載りリンネ！ ２ 時のゆりかご

清野静『時載りリンネ!〈2〉時のゆりかご (角川スニーカー文庫)』角川書店,2007
シリーズ感想
清野静さんの作品感想
活字を摂取し、その読書量に比例して時を止めることもできる時載りの少女・リンネの冒険を描いたシリーズ２巻目。
前回でリンネが時砕きとなるなど大きな出来事があったのに、目覚まし時計を止めて遅刻し欠けるなど至ってマイペースな出だしで、ある意味安心しました。読書中はやっぱりまったりしなくちゃね。

リンネを肩車して棚の上の本を取るところとか、私自身そんなことしたことないのに、懐かしい気分になれる素敵シュチュエーションでした。
出来たばかりのツンデレな友人・ルウとのやりとりは、売り言葉に買い言葉でくすくすする部分があったり、こそばゆくなる位にリンネのあったかい部分にも触れられていい感じ。
また、そんなリンネたちが不思議な書棚を巡り、オークションに密かに潜り込んだりも。不安を残しつつ、わくわくを隠し切れていない様子がよく伝わってきますよ。リーダー役がいたり、引っ張られる子がいたり、フォローに回る子がいたり……子供たちだけってのがポイント高いですよね〜。

来るべき襲撃に備え防衛線をはる話も、倒すべき相手なら様になりますが、ママさんに怒られないためのやりとりだったり。実力をつけるためのトレーニングが、当初の目的とずれてストレス発散になっていくわけで。
状況的には結構危険な場面もあるのですが、それさえも飲み込んで穏やかな冒険譚として語られるスタイル。ささやかなスパイスが日常の魅力をさらに引き立てています。ついつい自分の思い出にも浸りたくなりました。