ミスマルカ興国物語

林トモアキ『ミスマルカ興国物語〈1〉 (角川スニーカー文庫)』角川書店,2008
林トモアキさんの作品感想

下らぬ言い訳ばかりに長けており、平和な世の中をピンク色に満喫していたマヒロ王子の物語。deltazuluさんの感想を読んで手にとりました。
親しみやすさから民衆には人気のマヒロですが、敵陣に乗り込んで王子だと名乗っても信じてもらえない不憫な子です。不思議な雑貨屋さんとの繋がりやトラップデータの蓄積など、行動力があったりするんですけれどもね。

全女性にメイド服の着用を義務付けようとするアホ王子・マヒロと彼のお目付け役・パリエルの堅苦しさのない関係が楽しいな〜。パリエルは王子に振り回されるだけかと思いきや、暴言吐きまくりますし。
特に雑貨屋さんとマヒロに、二人がかりでいびられている辺りでは、乙女な部分はどこへ行ってしまったって感じですからね。「王子……せっかくだけれど、やっぱりこれ、いらないや」マヒロ以上に不憫な子かも。
脇を固めるの筆頭は、冷静沈着なスーパーメイド・エーデルワイスです。罠の改良とかなにげにすごいことやってのけてしまいます。ハリセンも素敵ですね。敵側の大将・ルナスも豪気でなかなか面白味があります。

最後にマヒロが得た結論はすごかったな。これが一番のはったりでしょうか。逆境こそ物語のおいしいポイントでしょうけれども、それは乗り越えてこそ発揮されるものなので、これだけ自分を追い込んでしまっておいて、どう物語を進めていくのか気になります。
いつの世も、どこまで本気なのか分からない相手が、一番怖いのかも知れませんね。マヒロもトモアキさんもどこまで本気なんだろう。

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