とある飛空士への恋歌

とある飛空士への恋歌  Amazon
コミカル5シリアス3癒し2
犬村小六とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)小学館,2009
シリーズ感想
犬村小六さんの作品感想
世界の果てを見つけることが目的の「空飛ぶ島」イスラを舞台にした、飛空士のカルエルと妹のアリエル、革命の旗印を担った少女・ニナの物語。


アリエルのべらんめぇ口調が頼もしくて楽しく読み始めたのですが、カルエルの過去が明かされてローテンションに。初めて気づいた母親の愛情の温かさなど割り切れなさが漂っていましたよ。
不幸中の幸いは飛空機械整備工のミハエルに拾われたことだけれどもね。そこの三姉妹がかわいらしくて、カルエルを構う姿を想像してるとムフフとなってしまいます。連日連夜、三姉妹に布団の中で遊ばれるカルエルの姿にニヤニヤしてしまうのは、私だけなのかな〜。
カルエルは元王子様らしく普通じゃないのに普通ぶっていて面白いやつです。動転したときの周りの見えてなさっぷりまで考えると、嫌な奴だなと思うよりは笑えちゃいます。カルエルの非常識な思考に突っ込みをいれるアリエルとの掛け合いも楽しいです。寮の窓からの喚きあいもよかったー。


ミハエルとはこのまま離れ離れになるのかと心配していましたが、「ありがと、お父さん」と伝えるカルエルの姿を見ることができて安心しましたよ。
イスラでの生活はまだまだ序盤ですが、クレアというおどおどしているけれど不思議な魅力を持つ女の子に出会います。「あ、あの、抱きしめてくれてありがとうっ!」は殺し文句だと思う。
ああ、それにしても、それにしても。これから一体どうなるんだこれは。次も錐揉み飛行的なスリルに満ちた展開を期待しています。