3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代

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城繁幸3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書)』筑摩書房,2008
城繁幸さんの作品感想


良い大学から大企業へ」というような昭和な感覚は、さすがにもう全員が信じることは出来ないのではないかと論じている本。昭和的価値観をぶっ飛ばした人たちのインタビューをメインに、主張が語られていきます。
何も考えずに転職してしまう若者について語られているのかと思っていましたよ。どっちかというと、インタビューで出てくる人たちのタイプは少数派だと思うわけですが。『俺たちのR25時代』(→感想)に近いかな。


単調な仕事が続く大手を辞めて、別業種だったり中小だったりにいく人が多かったかな。昔は大手でもいずれそこそこのポストにつけて、安定した生活が送れるという希望があったものの、今じゃね。いくら大手でも魅力を感じられなければ、夢がある仕事に移ってしまうわけで。
定年まで働ければいいけれども、それさえ危ういのが今の世の中ですよと続きます。こうなると自分の市場価値を高めたいと思うのは、自然の成り行きでしょうか。自分で決断し、行動したいとインタビューされてる人は答えています。


この”業界”に就職したと思っている」「私は仕事として携わる以上、自分の命をかけられるものにしたかったんです」辺りの言葉が妙に印象に残っています。
一番私が納得しやすかったのは、山田真哉さんの「私の座右の銘は”公私混同”」です。仕事でなくても、全力でぶつかるものがあればいいのかな。なんにせよ人生は楽しまなくちゃダメですよね。
まあ、残業や有休返上が美徳なのも変ではありますよね。私もそれにどっぷり漬かってる感じですけども。全員が全員損しているような状況だと思いますよ。
それと、新卒男子だけで労働力がまかなえなくなってきたからという、女性総合職を増やしている誘い文句の裏を読むとげんなりですね。このげんなりさも、会社が生き残る上で必要なしたたかさなのかも知れませんが。


この本で一番の槍玉に上がっているのは、年功序列でしょうか。年功序列制度の本質は、会社に定期預金を預けているようなものとのこと。途中で解約したら目減りしてしまうわけです。
まだまだ大きな変化ではないし、私が生きている内に変わりきってしまうのか疑問ですが、多様性を受け入れられる会社でなければ、市場から退出することになるのかも。嫌な言葉だと、したたかさとも言うのかな。
最後に若者はわがままにならなければいけないと書かれていますが、わがままが許されるのは行動力があるからなんだろうな〜とも思ってしまう、そんな非アクティブな私。私もしたたかにならなきゃいけないのでしょう。