天使のレシピ 2

天使のレシピ 2  Amazon
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御伽枕天使のレシピ〈2〉 (電撃文庫)メディアワークス,2006
シリーズ感想
御伽枕さんの作品感想
一人しかいない演劇部員である兄に恋する妹の話「FAKE」恋人がいるにも関わらず他の異性ともベタベタする彼氏、彼女に途方にくれる話「相談員」「実習生」天使の存在を追い求める新聞部の話「テンシヲサガシテ」以上、4編が収録されています。
FAKE」は、「けっこう、演技は演技って感じでできちゃうかな」みたいな、役割を演じてしまう部分にもっと焦点を当てて欲しかったかも。どうしてもタブー的なものを連想してしまう兄妹という立場ではなく、ほかの関係性でアプローチが希望だったのですよ。


相談員」は面白かったなー。彼氏に料理を作ってもらってばかりで悪いと思いつつ、なかなかアクションを起こせない千波がかわいいです。ただ、石鹸は野菜を洗うものではありません。また、自分の考える常識が正しいかどうか友人たちにアンケートをしてデータを集めたりする姿もぐー。
でも、その気持ちはすごく分かるな〜。相手が無理してるんじゃないかと気になってしまうのも、逆に好意でやっていたのにおせっかいだったのかと心配になる気持ちも。
この辺りのルールは人それぞれだから、言葉にして伝えないと分からないし、言葉にしても確実には伝わらないでしょう。あと、最初が肝心だと私は思います。一度ルールが定着すると、変更するのが大変じゃないかな。
ただ、それぞれにルールがあるとはいえ、いちゃいちゃモード中に携帯はいかんだろー。あるいは、ごめんねくらい言いなはれー。私でも怒るぞー。


千波は彼氏の心のうちを知ろうと、色々画策して相談員を頼むことになります。「演技に酔っていたのかもしれない。」の下りはちょっと怖かったな。フリをしていたはずが、演技にはまってしまうと気持ちも引きずられてしまうことって、恋愛に限らずよくあることだと思うから。ポジティブに働けばいいんだけれどもね。
実習生」では、元カレに対して不気味な思いが。それは置いといても、「そういう「ルール」を教えるべきか」「ならば、ずっと夢を見てて欲しいとか?」のように、矛盾した気持ちにぶつかることって、恋愛だとよくあるような。なんでだろう。
相手の立ち位置によって、自分のルールの線引きが曖昧になってしまうからでしょうか。もしくは、自分ルールという極めて主観的なものを、相手の立場に立って考えようと客観的な視点で眺めてしまうことから起きる矛盾?
テンシヲサガセ」まあそんなわけで、曖昧になる線引きを強引にはっきりさせてしまうのが、この物語においての天使の役割なのかなと思ったりも。「恋は二人でするものです」は、シンプルなレシピだからこそ、いかなるときも忘れないよう心にとどめておきたいものです。