サークル・マジック―トリスと稲妻の矢

タモラ・ピアス『サークル・マジック―トリスと稲妻の矢 (ルルル文庫)』小学館,2008
シリーズ感想
タモラ・ピアスさんの作品感想
学院で魔法を学び始めた４人の少年少女たちの物語２巻目。トリスが助けた雛の世話を通して、ローズソンと仲良くなったりしますし、従兄のエーメリが現れて家族のことを思い出して悩んだりも。また、４人が能力に目覚めて感覚を共有するなど、魔法の幅も広がっているようです。

平和なはずの学院に、海賊が攻めてくるという怒涛の展開。怖い状況ではありますが、危機的状況こそ成長の時期でもあるのでしょうか。
たまに仲間のために無茶しますが、わりと素直に言うことを聞く優等生タイプのサンドリは包帯作りを。どちらかいうと影で支える的性格のダジャは、魔法のネットを補修するために危険な領域に踏み込みます。
お調子者のブライアーは蔦の壁を作って海賊の侵攻を遅らせようと魔法を使ったり、自信喪失中のトリスは自分の魔法を使いこなそうと練習を始めたりも。色々な意味で成長している子供たちを眺めているのはいいな〜。
４人はちょくちょく無理をしようとするので、先生たちを心配させたりもするわけですが。その分、先生と生徒たち８人が勢ぞろいした場面は読んでいて安心しました。あの絵が見えた時点で、焦る気持ちはなくなりましたね。

思い込みというか、枠を子供の目線で取っ払うのも痛快。「トリス・チャンドラーほど頭のいい奴が、暑くていらいらするだけの服になんでこだわっているんだ？」この辺りのくすぐりは今後も、多少は出てくるのかなー。
ほっこり温かくなれる王道のファンタジー。続巻ではどんな冒険、成長が見られるのか楽しみです。私はもっかブライアー応援中。