MA棋してる!

MA棋してる!  Amazon
コミカル5バトル3癒し2
三浦良MA棋してる!(1) (富士見ファンタジア文庫)富士見書房,2008
三浦良さんの作品感想


魔法合戦に巻き込まれる小学五年生の奏の物語。向こうの世界からやってきた、インコの姿をしたソフィーなどが絡んできます。KeiKomoriさんの感想を読んで手にとりました。
序盤は、異なる世界観があるにしてもなんとか理解し合おうとする奏に対して、金と陰謀論で強引にまとめるソフィーのちぐはぐさが面白かったです。まあ、硬い態度を取り続ける奏には、ソフィーくらい気軽な人のほうが組み合わせ的にいいのかも。


ソフィーとの対比を抜きにしても、かなり老成された小学生やな〜。「訓練は地味」と知っているとか、いったいどんな生活を送っていたのだろう。
おかしな出来事に巻き込まれているのに、将棋に関連した体験や格言とリンクさせて冷静になる奏がかっこよかったです。思考は小学生レベルじゃないですね。結果はともかく「常に最善手」を模索する姿勢は素直にすごいと思う。正直、見習いたい。
生活と関連付けて情報をインプットしていくことが強調されていて、奏の幼い感じが払拭されています。あまりにも払拭され過ぎていて、なんか発想がばば臭いというか。魔法の杖の起動で、草刈機を連想する女の子ってどうなのよ? ……かわいいですよっ!
将棋大好きってだけでも十分なのに、さらにべったら漬けでコテコテになってます。喜び震えているイラストと「ちなみに、わたしが漬けました」に私は陥落ました。奏が薦めてくれるべったら漬けだけで、ご飯3杯はいけますよ。


将棋に関連付けて、ソフィーはお金に関連付けて、異なる常識という外堀を埋めていく作業が、魔法少女ものとしては異質っぽいものの面白かったです。「人生を考えること以上に、何を真剣に取り組めと?」などポポポンと来る会話の応酬も魅力ですね。
そして発動する将棋魔法。魔法が関わってくるのですが、ガチバトルになっていくかと思いきやそうでもなく。私には馴染み深い囲いの名前が、魔法として発動していているのを見て、くすぐったい感覚を味わっていました。
また、猫耳少女はC言語を操り魔法を発動させてきます。なんとも奇妙な舞台装置ですな。窓に残された文字には、ニヤっとしてしまいましたよ。新しい世界を見せてくれたこの物語が、どんな駒組みで進んでいくのかとても楽しみです。


この小説が好きな人にお勧めする3
1 よくわかる現代魔法  Amazon2 座敷童にできるコト  Amazon3 サンダーガール!  Amazon
1、桜坂洋さんの小説『よくわかる現代魔法』コードという概念を駆使して魔法を使う話。→感想
2、七飯宏隆さんの小説『座敷童にできるコト』座敷童の世界と人間の世界が交錯する話。→感想
3、鈴木鈴さんの小説『サンダーガール!』力を手に入れてしまった少女の話。→シリーズ感想