恋するたなだ君

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コミカル4恋愛3癒し3
藤谷治恋するたなだ君 (小学館文庫)小学館,2008
藤谷治さんの作品感想


地図の会社にいるのに方向音痴な29歳で、カブト虫が友達のたなだ君。その方向音痴っぷりを発揮して不思議な街に迷い込み、そこで理性を吹っ飛ばして女性に一目惚れする話です。相方にろんぽう君と名づけたり、おもちゃのクラクションつけたり、たなだ君の独特の感性に引き込まれてしまいます。
たなだ君の突発的な思考とか行動に笑いましたし、女性と関わりがありそうなホテルに入り込んだら出てきたホテイガードの連中とかバカバカしいのですよ。サンダルフルート屋がお気に入りかな〜。


序盤はコミカルで奇妙な街の住人たちやたなだ君の暴走っぷりが楽しかったのですが、たなだ君がゲストルームに放り込まれた際に、二人の住人が恋について独り言を繰り広げる辺りからは、ただ面白いだけでなく捉えどころのない味わいも出てきたからよかったな。
僕はあなたを、愛していないと思います」という決断に至るまでの過程が素敵。また、最後の最後まで住人たちは楽しませてくれます。一般人がどこにもいないよ〜。
たなだ君ではありませんが、美しいものを見て笑ってしまう感覚は大事にしたいですよ。私はこの本を読んで十分に笑わさせてもらいました。笑いはいずれ消えてしまうものですが、笑った記憶は残るので満足なのです。


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