神様のパラドックス

神様のパラドックス  Amazon
SF5燃える3癒し2
機本伸司神様のパラドックス角川春樹事務所,2008
シリーズ感想
機本伸司さんの作品感想
大学の占い同好会に所属する地味目な女の子・直美がひょんなことから神様を作る仕事に関わる話。あとがきで知りましたが、神様のパズルのスピンオフなんだとか。
最初は量子コンピュータを駆使して占い事業を行うに至った経緯が説明されていくんだけれども、NP問題とか光解析型とかコッホ曲線とか物理用語がいっぱいで私の頭もいっぱいいっぱい。
スパコンとか量子コンピュータとかは聞いたことあったけど、あんまり理解できてなかった。読了後にウィキ読んで多少補完したけど。そもそもまだ量子コンピュータ(Qコン)って実用化されていないのね。そりゃ、実用化されてたら核とかみたく問題になってるわなー。Q子ちゃんが一生懸命説明してくれたけど、わけわかめでした。
課題が多くあるQコンを動かすために飛行機飛ばすとか、その発想や理由に驚きました。


占いが飛躍してカウンセラーをQコンにやらせようとして、行き着くところは神様を作ろうということになっていきます。理想の神様の条件を考えたりとか、この辺りから燃えてきましたねー。
並行して、神様を作るというバイトに携わる中で直美は自分らしさというものを考え始めます。積極的になれないことに悩む直美とQコンとスパコンと組み神様を形成するAIのフライデイMの交流が心温まる。
フライデイMがぶち当たる問題がまた厄介で、直美が直面する問題も共感しやすい壁で、どちらも読んでて楽しかったですよ。二人の問題はそれぞれ違うんだけれども、共通する部分もみえてきますから。
後ちょいと別件ですが、直美はイコライザーという役を演じて欲しいと頼まれるのですが、そのためのキャラ設定というか参考資料はどうなのよ。……まあ、恥ずかしがってる直美は萌えたのでよか〜。


フライデイが成長するにつれ悩みが深刻になっていき、ちょっと読んでるのが辛くなってきたときも。宗教のような企業ソウル・オリジン・サービスが絡んできたり、さらには量子ゴーストなるものまで出てきてもうてんやわんや。
そして、最後にはあの二人もでてきて驚きつつ納得しつつニヤニヤしてた。そういうことだったのね〜。


ああ、やっぱり私にはSFを深く理解するだけの知識はつきそうにないかな。物理用語を連発されるとかっこいいなーくらいの印象しか持てないわけで。
でも、試行錯誤しながらもなにかを作ろうとする話は大好きなんだよね。難題であれば難題であるだけ燃えるし。だから機本さんの作品は読むのを止められない。憧れが詰まってますから。
私もこの世界に飛び込みたいなと神様にお願いしたら、どんなアドバイス返ってくるのかな。