E.G.コンバット

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SF4燃える3コミカル3
秋山瑞人E.G.コンバット (電撃文庫 あ 8-1)メディアワークス,1998
秋山瑞人さんの作品感想
全女性が月面に移送され、地球には男性が残っているという2067年が舞台となっている物語。プラネリアムと呼ばれる敵と戦っているのですが、そんな中世界にとどろくほどの活躍をみせ大尉となった若干二十一歳の英雄・ルノアが主人公です。月にある訓練校で落ちこぼれ五人組を指導することになります。


世界設定からしてそうですが、一ページ目から固有名詞のオンパレード。流体脊髄ユニットの存在など、特殊な状況が徐々に徐々に説明されていきます。
背景を描きつつ最初に登場するのが、居眠りブルースと囁かれているじじいです。地球から月への左遷に落ち込むルノアを励ますブルースの言葉が、どれもかっこいいですな〜。
月に到着早々に訓練生に間違われて、鬼指導官に厳しい愛のムチを受けるルノアになぜだか笑いが。ルノアの困惑っぷりも楽しいですが、それ以上に鬼教官の戸惑いが笑いを誘うんでしょうか。
落ちこぼれは変人ばかり。本当に訓練生なのか疑いたくなるような性格ですよ。特にアイとペスカトーレの二人は〜。
また、落ちこぼれ五人組を憎んでおり、しかしルノアを敬愛しているかなりの優等生・カデナも、不安定さも出てくる中盤以降なかなか存在感がありましたね。


いつか読もう読もうと思いつつも、ガチガチのSF用語に敬遠していた自分が情けないです。こんなに面白いのに。
濃いキャラがドタバタ駆け巡るコメディがよかったし、ヤマグチ次官の想いがルノアに対する吐露されたり売店の主任のおばさんに泣きつく場面などシリアス方面でも満足満足、大満足。
ルノアが悩み一歩一歩手探りなシーンがあったり無重力の中を飛び跳ねるようなハイテンションなシーンがあったり、緩急の使い方が絶妙だと思うんですよ。厚い本ではないのに、長い時間過ごしていたような充実感がありました。
早く続きを読まないと「ATTENTION!!」から始まるルノアの罵詈雑言を浴びてしまうかもー。


この小説が好きな人にお勧めする3
1 鉄コミュニケイション  Amazon2 春は出会いの季節です アルテミス・スコードロン  Amazon3 ラジオガール・ウィズ・ジャミング  Amazon
1、秋山さんの小説『鉄コミュニケイション』ロボットたちと暮らす少女の話。
2、扇智史さんの小説『春は出会いの季節です アルテミス・スコードロン』機動装甲に乗り込み戦う少女たちの話。→感想
3、深山森さんの小説『ラジオガール・ウィズ・ジャミング』海賊放送局の活躍を描いた話。→感想