春は出会いの季節です

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扇智史春は出会いの季節です アルテミス・スコードロン (ファミ通文庫)エンターブレイン,2005
扇智史さんの作品感想


機動装甲に乗り込み敵と戦う乙女を育成するための学園「練女」が舞台。才能も身分も非の打ち所がない一ノ瀬先輩に憧れる体力バカの一年生・春音の物語。
最初に寂しくなる結末が示されているので、しゅんとなってしまうのです。


その憧れの存在である一ノ瀬先輩に同じ部隊への所属を求められることから、春音の激しい生活は始まります。思いもよらない事態に思い悩む春音ですが、決めるときは自分の気持ちに素直になれていてよかったです。
この決断がほんの序章に過ぎないところが真骨頂なのですけども。


普通でいたかった、自分に特別な才能なんてないのだから期待しすぎないで欲しい……そんな風に目立ちたくないって気持ちはすごく理解できたので、私自身の心も春音と一緒に揺れ動いていました。
直接的に言われる期待はまだいいのですが、雰囲気とかで匂わせてくる期待は、むずがゆくて、ひしひしと積み重なってくるプレシャーだと思うのですよ。
もっとも、一ノ瀬先輩も乙女な部分があって遠いだけの存在ではないことが分かるのは、乙女ばかりのこの話にぴったりなんですけどね。


憧れを自分の生活に取り込めるかどうかの葛藤が面白かったんですが、このシリーズの打ち切りが決定済みってのが辛いな〜。せっかく伏線も色々と張ってあるようなのに〜。でも読まない手はないのです。


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