零崎曲識の人間人間

零崎曲識の人間人間  Amazon
燃える4ギャグ4癒し2
西尾維新零崎曲識の人間人間 (講談社ノベルス)講談社,2008
シリーズ感想
西尾維新さんの作品感想
戯言からスピンオフともいうべき零崎一族のお話3作目。時系列がばらばらですが、4編収録されています。章タイトルが凝ってますね。
ランドセルランドの戦い」子萩と双識がデートする話。双識の相変わらずの変態っぷりになぜか安堵したり。
子萩の張った作戦に、楽器を手にした曲識が登場します。他の零崎と同じく、曲識もやっぱりずれてますな。浮世離れしているようで思い込みが激しい部分もあったりと忙しいです。まあ、表面的には落ち着いてるようにしか見えないんだけれども。
人識も出てきてすぐ舞台からは消えていきます。出夢と戯れるだけ。もっとも、そのお戯れだけで十分おいしいですね。
ロイヤルロイヤリティーホテルの音階」殺し名や呪い名など、大勢の人間を混乱に陥っている戦争状態のときの話。曲識はメイドのぷに子と戦うことになります。
熱くなる性格にはとても見えない曲識なのに、一人の少女と出会うことで、自分で勝手に決めていた限界を突き破るようになるんだから面白いですよね。
クラッシュクラシックの面会」妹分である伊織のため人識が義手を手に入れようとする話。……手を手に入れるって、そこはかとなく面白いような。
人識が伊織にからかわれているのは、見ていて気持ちがいいですね。人識も曲識も憎めないと思っているところへ、最後の一文がやってきて凹みます。
ラストフルラストの本懐」最後の戦争の話。曲識と妙な友人関係にあったと伺える武器商人・罪口との会話もかっこいいです。決まってますね。
戦闘の始まり方だって、もうこれ以上ないくらいです。始まりがよければ、最後だって最高になるわけで……。
これまで曲識に対する知識とかなかったから、曲識の人生がこれ一冊に凝縮されているように感じられました。だからでしょうか、曲識の成長などを見ることができてすごくよかったです。
最後に曲識が主役になった瞬間は、儚くもあったけれど、とてもすばらしかったです。完璧に殺し屋だってことを忘れちゃいますね。