間宮兄弟

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癒し5恋愛3コミカル2
江國香織間宮兄弟 (小学館文庫)小学館,2007
江國香織さんの作品感想


いい人かも知れないけれど、恋愛関係にはならなそうな三十代の兄弟のお話です。積極的にはコミュニケーションをとろうとしない兄・明信、思い込んだら行動の弟・徹信と、体型も好みのタイプも違うのだけれども、なぜか一緒にいるのが心地よいそうで。ものすごく平和な日常です。
そんな兄弟の日常に、ひょんなきっかけからレンタルビデオ屋アルバイトの大学生・直美やズケズケものをいう妹・夕美、夕美の寡黙なボーイフレンドなどが接触してきます。特に夕美が直接的に絡み始めてからは面白かったな〜。
学生さん以外には徹信が勤める学校の教師・依子も登場します。不倫をしていて冷めた部分がありますよ。あるいは明信の頼れる先輩も、頼れる部分はあるのですが……。それぞれの悲喜こもごもが描かれています。


兄弟は変な雰囲気も持っていて、妙に多趣味だったりします。どこへ行くときにも本を持ち歩く「読書日」がいいなーと思ったけど、私も実際にやってるじゃんと思い直したりも。紙飛行機を夜に飛ばしあいっこするとか不思議系やな〜。
だって間宮兄弟を見てごらんよ。いまだに一緒に遊んでるじゃん」が帯コメに使われていたんだけれども、このセレクトが憎いです。心地よい温かさの残る最後もグッド。
なんてか兄弟のみょうちきりんな出来事をつらつら並べているだけで、感想でもなさそー。江國さんにしては心に残る鮮烈な文章は控えめで、でも兄弟の穏やかな視線に癒されました。


この小説が好きな人にお勧めする3
1 東京タワー  Amazon2 いつかパラソルの下で  Amazon3 ありふれた風景画  Amazon
1、江國さんの小説『東京タワー』こちらも映画化しています。→感想
2、森絵都さんの小説『いつかパラソルの下で』兄妹が父の過去を掘り起こす話。→感想
3、あさのあつこさんの小説『ありふれた風景画』女子高生の物語。→感想