いつか、こいまち！

長谷川昌史『いつか、こいまち! (電撃文庫)』アスキー・メディアワークス,2008
長谷川昌史さんの作品感想

初っ端の初恋の人との別れがきゅんと来てしまいました。本筋と関係ないし、すごいさらりと書かれているだけなのに不思議。
そんなわけで、高校生の一之瀬が引越ししてきた転入先のクラスには恋の神様・甘楽がいて、意中の人に当てると恋が叶う懸想紙という特別な紙飛行機を渡される話。で、学校のアイドル莉奈に使ってみてしまうのです。お気楽極楽ラブッコメディー。

一之瀬は居候先の姉妹に過去の恥ずかしい悪行を明かされるなど、けっこう墓穴掘る割合が多くて、しかも共感できる墓穴の掘り方だったのがよかったかな。もうちょっと落ち着けや〜。
甘楽の家族もユニークなキャラが多くて、中でも一人輝いていたのは弟の蓮次です。子供っぽい性格の家族に囲まれつつ唯一の苦労人っぽさも醸し出すキャラだったのに、お土産を渡すには唖然とするしかありませんでした。

猫まっしぐらな印象の甘楽が、次から次へと目標を変えては突撃していくので終始明るい雰囲気でした。特に甘楽お得意の両目ウィンクが発動すれば、どんな深刻な問題があってもなんとかなりそうになるからすごいものです。

この小説が好きな人にお勧めする３

１、長谷川さんの小説『サインをつかめ！』→感想
２、来楽零さんの小説『ロミオの災難』ロミオ役に恋心を抱いてしまう呪いの劇と演劇部の話。→感想
３、菅沼誠也さんの小説『ストップ☆まりかちゃん!』天才科学者が巻き起こす騒動の話。→感想