哀しみキメラ 2

哀しみキメラ 2  Amazon
癒し8シリアス2
来楽零哀しみキメラ〈2〉 (電撃文庫 1285)メディアワークス,2006
シリーズ感想
来楽零さんの作品感想
人間ではなくなってしまった若者の物語。シリーズ2巻目。
前回の事件以降、北海道に逃げてお祓いを仕事にしていた3人の元に、姪に呪い殺されるから助けて欲しいというメールが入ったことから始まります。叔父を呪い殺したと言い張る少女・真里との奇妙な生活もスタートするわけで。


怪しげな依頼をされたりイタコ崩れの女性祓い師・戸塚と出会ったりと、真里と出会ってからバタバタします。三人がバラバラに危機に陥ってしまう場面は、嫌な未来を想像しちゃって心配になりましたね。
いろんな箇所で蠱毒がキーワードとなりますし、記憶をなくしていた真里の小さい頃の過去も絡んできます。


自分の殻に閉じこもっていた真里の成長、また三人が真里との生活を通して人間に対する未練などで葛藤する姿が魅力的。確固たる信念があるわけではなく心は揺れ動いているので、不安にはなりましたが四人を応援したい気持ちになったのですよ。
人間じゃなかろうと三人がそれぞれの形で真里を大切に思っていたこと、そしてその真里が友人のことを考えるシーンはじーんときました。臆病者にも人殺しにも化け物にも、明日は来るし。……笑えるエピローグではないけど、哀しみだけではない素敵な最後だったと思います。