ジョン平とぼくと

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大西科学ジョン平とぼくと (GA文庫)ソフトバンククリエイティブ,2006
大西科学さんの作品感想


人々が手軽に魔法を使っている世界で、ジョン平という犬の使い魔を持つ高校生・重の物語。
この世界での魔法は万能ではなく、呪文の発動方法が決まっていたり魔法素という概念、また魔法に対する親和性の式が存在するなど、魔法を科学的思考によって行うのが面白いです。そのため、魔法は大切だけれどもその他の教科も必要という結論に妙に納得。
それに魔法が使えると言っても重は落ちこぼれで、幼馴染の鈴音や彼女の使い魔トルバディンと共に練習に明け暮れる日々です。ジョン平のキャラがゆるゆるで、そのおかげでほのぼのできますよ。


しかし、怪しげな美人教師が突然やってきたり使い魔の変調や謎の爆発が起きるなど慌しい雰囲気に包まれていきます。
その事件と重は向き合うことになるのですが、その過程での鈴音に対する思いには心がきゅっとしました。科学がプッシュされているせいなのか全体的に落ち着いた印象ですが、でも感情の行き来は意外に激しいような気がしますね。
なんだかわかないものが魔法だ小川一水さんが解説で書かれていますが、この本も魔法のような物語でした。この面白さは計算された科学では作れないでしょうから。


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