本当はエロい狼と香辛料 7

狼と香辛料 7  Amazon
癒し11
支倉凍砂狼と香辛料メディアワークス,2008


狼と香辛料は初の短編集でもやっぱり前回同様でした。三篇収録されています。以降、狼と香辛料7のネタバレ満載なので未読者注意!




一つ目はロレンスとホロが出会う前の出来事で、クラスという少年と彼よりちょっと年上の少女アリエスの話。
二人は幼く知識もありませんが、夜は抱き合って眠ることによって寂しさなどに耐えます。普段のとんちんかんぶりはなりを潜め、アリエスがお姉さんぶり存分に発揮しクラスを上手にリードします。クラスはなすがまま。初めての経験ですからね、四回目には慣れてきたようですが。
ちょっとは自信がついてきたのか、アリエスには「男は狼さ」なんて言ってのけますが、ホロが出てくると再び弄ばれることになります。ホロの手にかかったら童貞のクラスが、「自分はホロに食べられるのだ」と思うのも仕方ないでしょう。
また、ホロはクラスにアリエスへの接し方も教え込んでいきます。クラスは若い男ということで、アリエスのことを無視して欲望の赴くままに動いてしまうことが多々ありましたからね。「何度も休憩を求めておったじゃろう?」や「ほれ、こんなに硬くなっておる」などなど。


そして最後には、もう取り返しのつかないアリエスの過去も明かされます。ずっと同じ建物に住んでいたことや、重労働をさせられていたわけではないことなどですね。
クラスのような労働を免除されていたのはやはり理由があるからで……。「牙を向けてくるのは狼だけではありんせん。ましてや、アリエスは若い娘じゃからな」の言葉が重くのしかかります。


二話目は、ホロがロレンスに生まれたままの姿を初めて見せた直後の、ベットの上での話です。「生のままじゃいくらなんでも飽きるだろう」とかなかなか刺激的な発言ですな。
ホロ用の服を買いに行くのですが、かわいいとか似合ってるなどの発言はなく、服屋においてのホロに対する唯一といっていい評価は「着替えの短い女はそれだけで魅力的だ」……ってロレンスそりゃないよ!


三話目は初のホロ視点。こちらはベットの上でホロが甘える話でした。
早く組み伏せてくりゃれ?「早くしてくりゃれ?」「満月になると体がうずいてしまったり、の」という心情を知ることができたので新鮮だな〜。
そんなわけで、本当はロレンスに身をゆだね気持ちいいことを存分に満喫したいホロでしたが、ロレンスのあまりにも純情っぷりに「どちらかが素面で相手を導かねばならない」なら自分が動くしかないという結論にたどり着くのが切ない。ロレンス、もっと察してやれよ。
まあ、せっかく野外ではなく宿のベットで寝れる機会でもありますし、ホロはめげずに「上手に操って、温めて、ゆっくり楽しまなければいけない」と考え直すわけですけれどもね。


三話とも色っぽい話ばかりの短編集でした。ごちそうさまでした。


支倉凍砂さんの作品感想