ミステリクロノ2

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久住四季ミステリクロノ〈2〉 (電撃文庫)メディアワークス,2007


クロノグラフという道具を落としてしまった天使・真里亜が、人間界で道具を探し出すシリーズ二作目。妹のように手のかかる真里亜がかわいいですね。前回同様、アホな子ほどかわいいを地でいっています。


ひょんなことから、様子がおかしい秀才・秋永のお見舞いに出かけるのですが、この秋永を中心に内気な少女・羽澤や訳ありの学生たちがたむろする店などが絡んできて、事件に巻き込まれていきます。
今回のクロノグラフは拳銃タイプで、記憶を失わさせる効果があります。そんなわけで、記憶について語られていますね。記憶がなくなっても過去の事実はなくならないなどのやりとりは面白かったです。関連して、秋永と羽澤の関係がほほえましかったなー。
ミステリ的な要素では、ひっくり返しにつぐひっくり返しで嫌なムードになってしまいましたよ。後味は悪いです。事件そのものだけではなく、道具の魔力にも振り回されるんだから大変ですよね。


前回もそうですが、天使の道具が出てくるわりには事件が小粒で複雑なのも印象的。この路線でシリーズは進んでいくのかな〜? 事件が大味なものではなく身近なので、時間というものに対する慧の苦悩に共感できて私は好きです。
各巻ごとの事件の謎はもちろんですが、シリーズのテーマとなっている人と時間の謎が解ける日は来るんでしょうか。慧や真里亜がその答えを見つけ出すのが、今から待ち遠しいですね。


久住四季さんの作品感想