ガラスの麒麟

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ミステリ4シリアス4癒し2
加納朋子ガラスの麒麟 (講談社文庫)講談社,2000


architectさんの感想を読んで手にとりました。保健室の神野先生が探偵役を務める、六つの物語からなる連作短編集。
ガラスの麒麟」ガラスの麒麟という作品のイラストを書くことになったイラストレーターの娘・直子が、近くで起きた殺人事件の被害者・麻衣子だといい始める話。これが一番のお気に入りかな〜。
三月の兎」麻衣子の担任・康子が、生徒の中にとある事件の犯人がいるのではないかと疑惑を抱く話。三月のうさぎに関する話が小さな話だけれどもよかったー。
ダックスフントの憂鬱」猫の足を切りつけられる事件を解決しようと中学生の高志の話。いやーな気分にさせてくれるけれども、エピローグでちょっと安心できました。
鏡の国のペンギン」麻衣子の幽霊が出ると噂が流れだす話。終盤にある一言がぐさっときます。「暗闇の鴉」は想像していた物語が反転する場面とかよかったな〜。そして「お終いのネメゲトサウルス」では、この物語の最後の謎が解決されます。


前半の三作品がミステリ短編としては好みで特に楽しめました。後半は暗部に切り込み始めてくるので、どうしても重苦しい雰囲気にならざるを得ないですから。
生徒達がガラスの如く不安定で、色んな姿を見せてくれますね。切れ味が鋭かったり、脆かったり、はっとするような綺麗な姿を見せてくれたり。
まあ、生徒に限った話じゃないけどもさ。少女たちの視点じゃなくて見守る視点なのが、なんか新鮮でした。


加納朋子さんの作品感想


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