正義のミカタ―I’m a loser

正義のミカタ―I’m a loser  Amazon
シリアス⑥コミカル②癒し②
本多孝好正義のミカタ―I’m a loser双葉社,2007


高校時代は同級生にいじめられていて、勉強を必死にがんばり大学生活はエンジョイしたいと願っていた亮太が、ひょんなことから才能を認められ正義の味方研究部に入部することになる話。
インターハイ三連覇とボクシングがものすごく強いトモイチを始め、知的なメガネの先輩や美人で強気な先輩、そして謎が多そうな部長といった個性的なメンバーとともに活動することに。
いじめられっこで自分に自信がもてなかった亮太が、天才的なディフェンス能力を見出され気持ちに変化が出てくるところは読んでいて気持ちがいいです。部活動だけではなく、気になる女性・蒲原さんとの距離を縮めようと奮闘する姿も感じいい。


亮太の家族の話も出てくるんですが、亮太とトモイチは不審な動きのあるサークルに潜入することに。ここから楽しいお話じゃなくなってくるのよね。色んな人と出会うことで、徐々に思考を広くかせていく亮太。
潜入先のサークルで尊敬する先輩を見つけてしまい、その先輩も亮太のことを買ってくれて……。バット ノー ウェイ。信頼してくれている人を裏切るときの気持ちがなんとも。最後の決闘シーンにも苦々しさしかありませんでしたし。当初想像していたエンタメ一直線な話ではありませんでしたね〜。


正義を現実に実行しようとすると、勧善懲悪じゃなくてスカッとなんてできないものなのかも。身をもって体験できますよ。
ましてや、言葉にすることが難しい正義の定義もできてないのに、「ミカタ」なんていうさらにあやふやな概念をくっつけちゃ齟齬が出てくるってものです。正義のミカタと名乗る時点で、負け犬なのでしょう。


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