メメントモリ

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コミカル⑤癒し③燃える②
福田栄一メメントモリ (Edge)徳間書店,2007


parganさんの感想を読んで手にとりました。渋谷のバーから一転、場末のスナック・メメントモリで働くことになったバーテンダーの山県を巡る話。


カクテルを作る気まんまん山県と、彼にくたびれた態度で接する絢子のやりとりを楽しんでいるうちに、家出娘の亜須美も紛れ込んできます。山県と亜須美のぎこちないながらもほのぼのした関係を眺めているうちに、前の店で常連客だった翔子も割り込んできます。
さらには、メメントモリに物騒な客が来たり、アルバイトの女の子がやっかいごとに巻き込まれたり、亜須美の家族が出てきたり……ゆっくりゆったりと話は進んで行き、最後には結構な勢いで巻き返しが起こります。
緊迫したシリアスな場面でも、慌てず騒がす大人の態度を崩さない山県がいい味を出してますね。このスナックを舞台にした物語の雰囲気にぴったりです。


メメントモリには本当に様々な人が入れ違いにやってくるので、実に多彩な出来事が起きますよ。人と人、個性と個性が接触した結果なんて分かりません。
どんな結末が待っているのか、わくわく想像しながら楽しく読み進めることができました。初めてのカクテルを飲むときと同じような気分でしょうか。


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