海をみあげて

海をみあげて  Amazon
癒し⑥コミカル②恋愛②
日比生典成『海をみあげて (電撃文庫)メディアワークス,2007


上空を鯨が泳ぐ浅霧町を舞台に、鯨が大好きな少女・真琴の物語。アニメ調のイラストはカラーのみですが、それでよかったと思う。
第一話 鯨が空を泳ぐ町」鯨が出現すると聞こえてくるモーツアルトの曲を流している場所を発見する話。「第二話 夏の宝箱」おじいちゃんとケンカしたという女の子の宝物を一緒に探す話。「第三話 夢を乗せて」気球でアメリカを目指す桃子さんを巡る話。以上、三話。


真琴敵対的な洋助のふてくさりっぷりやすれ違いっぷりが過激に素敵。これはよいツンデレですな、男だけども。
それぞれ別のキーワードを元に作られた話なので、それほど三話に一貫性はありません。鯨が空を泳いでいるという舞台設定のわりには大きな仕掛けもなく、淡々と真琴の日常が綴られています。不思議な町の話だからか、不思議な読了感ですな。


読み終わった思ったのは、最近空なんて見上げてないなってこと。外を歩いてるときに顔を上げるだけで見えるのに、じっと空を見る機会がなかったりする。空がどんな色してるとか、思い出そうとしてもはっきり思い出せないほど。青い、くらいのイメージしかない。さて、どのくらい青いのか……。
意識しないと記憶に残らないものですね。こんな風に連想すると、写真の設定もあながち突飛ではないのかも。
とりあえず、明日の朝にでも空を眺めてみることにします。意外に鯨が見えるかもしれませんから。雨が降っていたら、特にね。


日比生典成さんの作品感想


この小説が好きな人にお勧めする③
①日比生さんの小説『かぐや日記』引っ込み思案な少女と異世界の王子さまの話。→感想
②映画『耳をすませば』読書好きの少女とバイオリン職人を目指す少年の話。
③ゲーム『最終試験くじら』鯨が空を泳いでいる話。
① かぐや日記  Amazon② 耳をすませば  Amazon③ 最終試験くじら 上巻  Amazon