巴里人形の謎

巴里人形の謎  Amazon
ミステリ⑤シリアス⑤
太田忠司巴里人形の謎 (ノン・ノベル)講談社,1996


霞田兄妹シリーズ五作目。いつもは妹の千鶴に引っ張り出されて、仕方なく探偵業に精をだすといった感じの志郎ですが、今回はちょいと雰囲気が違います。
同級生が殺されるなど高校時代の志郎の話が、そして人形が不気味な存在として事件に大きく絡んできます。現在の志郎とは異なった高校時代が明かされていくのもみどころ。悩める探偵ここにあり。


ふだんはそうでもありませんが、志郎と苺子の丁々発止のやりとりに千鶴がモヤモヤした気分になったりと、要所要所で兄への慕いっぷりを見せつけてくれますな〜。いい兄妹です。三条さんと千鶴の刑事と漫画家の関係も面白くなってきました。
今回はミステリ要素の魅力が薄かったように思いますが、代わりに志郎や千鶴のキャラが掘り下げられていたので満足。次で第一部完らしいので楽しみです。


太田忠司さんの作品感想