七時間目の怪談授業
藤野恵美『七時間目の怪談授業 (講談社青い鳥文庫)』講談社,2005
yuzumugeさんの紹介文を読んで手に取りました。「九日以内に三通送らないと呪われてしまう」というメールを受け取ってしまったはるかと、クラスメイトたちの話。
はるかは先生に携帯を没収されるんだけど、呪いのメールがあるから返して欲しいと頼み込みます。
対する先生の「先生を怖がらすことができたら携帯を返してあげます」という提案がすばらしい。話もさくさく進んでいきます。
ギャル文字とか小説とかの話題の絡め方も面白いです。おかげで、登場回数が多くはないクラスメイトたちも、存在感を発揮していますよ。はるかの呪いのメールに対する認識の変化もいい。
それにしても、人間の嫌な部分もさらりと出してくるんだからびっくりします。また、先生の語りはちょっと不意打ちだったな。最後の最後でやられたーという感じです。
怪談の話を巡って、人はみんないろんな考え方を持っているんだよってことが伝わってきます。
もちろん、私にとってみればそんなこと疾の昔に分かってはいることだけれど、こういう風に物語として表現されると理解しやすい。すごく丁寧に描かれていて、私の好きな作品です。
二作目ももちろんですが、yuzumugeさんが薦められている三作目も期待大です。