学校の階段

燃える⑦コミカル③
櫂末高彰学校の階段 (ファミ通文庫)エンターブレイン,2006


第7回えんため大賞・優秀賞受賞作品。実写映画化もされます。タイトルロゴに笑った。
新入生の幸宏は、筋肉研究部に襲われていたところを救ってくれた階段部に勧誘されますが、なかなか入部しません。小悪魔的なミニスカ美少女・ゆうこが部長やってるんだから、四の五の言わずに入部しろよと私なんかは思いますが。幸宏が居候している従姉妹四人が美人だから、目が肥えてるのかな。
階段部の活動内容は、階段など校内を駆けずり回りタイムを競うシンプルなもの。走るコースによってレースの種類が違ったり、タイムを正確に測るために発信機までついていたり、わりと本格的ですけどね。
シンプルだからと舐めていた幸宏ですが、先輩たちが培ってきた技を見せ付けられて一時的に自信を失くします。でも、無気力系少年だった幸宏が、徐々にのめりこんでいく辺りは楽しいですね〜。



幸宏と二年生・泉との勝負のときに思ったんですが、階段部は制服姿で走ってるから、泉はミニスカのまま階段を全力で駆け上がってるんですよね。やっぱり見えちゃうんじゃないか……と期待しましたが、無念の結果に。めくり上げたときに、「……っ、はき忘れちゃった。み、見せたくて見せたわけじゃないんだからね」となんないのかな。なるわけないよな、エロゲじゃないし。
エロゲといえば、幸宏に噛み付いてくる同学年の部員・井筒が、美人四姉妹との同居を指して、「このエロゲー野郎」と発言するのですが、やはり井筒はエロゲーやってるんだろうか。
もちろん、この会話の流れの中でナイスな指摘をした三枝もやっているような気がする。熱血系の部活と見せつつ病んでるな。ちなみにエロゲーはどんな泣きゲーでも十八歳未満は禁止です。気をつけましょー。


幸宏のラブ弁当を肴におしゃべりしてる場面とか楽しそうです。つか、ゆうこに絡まれてるのが井筒じゃないけど妬ましい。そんなゆうこのベストシーンだと思うのは、演説してるところです。ちょっと恥ずかしがってるところがいいのですよ。
また、二年生コンビも結構いい性格してると思う。傍観者に徹しようとしたり、きわどい発言があったり。
そうそう、ラブ弁当は四姉妹の長女・希春が作ってるんだけど、幸宏は希春にも愛されすぎ。つか、希春姉から積極的に誘われてるんだから、一緒に風呂入ればいいのに。行ってきますのキスもすればいいのに。きっと一緒に入るとかいえば、逆に焦る姿なんかも見れると思うのに〜。



さてさて、この物語を読んでいると、小さい頃の思い出が蘇ってきました。小学校高学年のころ、屋根の上とか結構危険な部分まで使ってかくれんぼをやってたのが懐かしいです。トランシーバーが常備されるとか、段々装備も厳重になっていきましたよ。結局、見つかって怒られて終わったんだけど。
中学生のころにはサバゲーもやってました。広い場所を求めて、一時間くらいかけて川の近くまでよく行ったもんです。自転車でよく行けたなと今は思います。そんなサバゲーを、学校を貸しきってやれたら楽しいだろうな、とかも確か考えましたね。校内疾走より危険だから、できるわけないんだけどさ。
あの時はやりたかったんですよね。勘違いかも知れないけど、小さい頃の妄想をくだらないとか考えずに高校生になってもやってるのが、この物語の階段部なんだと思う。
そしてそれはきっと楽しいはず。鬼ごっこやかくれんぼなど単純なものでも、体力・知力ともに幅が広がった大人のほうが、遊びつくせるでしょう。もちろん、階段部のように走るだけでも。


しがらみを抜きにして、バカなことに集中できてる階段部がちょっぴりうらやましかったり。走りに集中できる楽しさや満足のいく走りができたときの達成感、そして多分ちょっとの背徳感。幸宏たちよりは大人の視点で読んでる私も、結局はやりたいなって思っちゃうんだよね。
もう叶えることができないであろう妄想を実行してくれている、「筋肉研究部、グッジョブ!」……じゃなかった、階段部グッジョブ!
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