幸せな結末が全然見えてこないよ〜ミステリxシリアス


ドンウィンズロウ『仏陀の鏡への道 (創元推理文庫)東京創元社,1997


ストリート・キッドの探偵・ニールが仕事をこなすシリーズ二作目。前回の仕事以来、本を読んで過ごすだけの隠遁生活を送っていたニールの元に、父のような存在であるグレアムが訪れるところから始まります。所属する組織から、李藍という娘を追って会社を逃げだした博士を引き戻して欲しいと依頼されます。今回ものっけから寂しい結末を予想させる一文があってへこみましたよ。
簡単な仕事と言われるものの、簡単に終わるはずもありません。ホテル探偵との追いかけっこをするなど苦心して発見するものの、仕事を達成していいのか迷い始める始末ですし。ニールも李藍に惚れてしまうから変なことになっていきます。ニール自身の命をかけた戦いになっていき、もう流れは止められません。ニールがいいやつだな〜と共感すればするほど、どつぼにはまっちゃいますよ。
無法地帯と悪名高き九龍寨城など、大混乱している中国をメイン舞台にして話が進んでいくのですが、スケールの大きさに合わせて前作よりも大きな視点で物語が起きているような感じ。グレアムの援助もあまり期待できない状況で、どんな裏があるのかまったく見えてこず悩みに悩み、一大決心した逃避行に末に見えてくる結末。……どうしてこうもくそったれな仕事が回ってくるんでしょうね。
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