■

野島けんじ『鳥は鳥であるために〈2〉 (MF文庫J)』メディアファクトリー，2005

呪われものとして世間から避けられている呪受者の志郎が、同じく呪受者の小鳩ちゃんの兄を探すシリーズ二作目。先輩だけど元気いっぱいなドジっ娘の毬藻ちゃんが、新たに登場します。志郎たちの通う学校の生徒が呪に攻撃されるという事件が起き、犯人を追跡します。どんでん返しに頼らない丁寧な犯人探しが好印象。
毬藻ちゃんの猪突猛進さがほほえましいですし、「兄の背は妹が飛びつくためにあるの」お兄ちゃん大好きな菓や演歌好きの爆走メイド・夕香も健在。むぅちぃも働かないけど健在。話はどこまでも暗くなりそう見えるなんだけど、小鳩ちゃんや菓の華やかさ、志郎の妄想力でずいぶんと救われていますよ。この明るさがないと寂しすぎますからね。対比的に事件の犯人とかの描写では人間って弱いなと思う。
前巻に引き続いての小鳩ちゃんの兄の話も進展します。対立とははっきりいい難い距離感が面白い。絶妙なバランスだと思いますよ。それにやっぱり、沖史慈宴さんのイラストは大好きだ〜。カラーの表紙もモノクロの挿絵もはずれがない。水戸先生や滅呪の挿絵は目のやり場に困りますが。男って弱いなと思う。
ブクマ感想集・同著者・類似バッチ