サインもいただきました〜SFxヒート


郁雄吉武『クイックハルト文芸社,2006


ちょいとにぶちんな主人公・疾風が、18禁コミックの表紙に描いてあるキャラクターみたいな胸を持つ千早と出会うところから物語は始まります。初っ端なからヴァリアブ条約機構やら有史世界領域連合なんて言葉が飛び出してきて少し構えてしまいましたが、概念的に難しいものではなく一安心。
上の世界観に関連して<昭和日本><平成日本>なる記述、そして「未来の世界に、過去の青春時代があった。」という帯文からタイムリープものかと思いきや、そうではなく。昭和の日本をイメージして作られた世界があり、平成の日本をイメージして作られた世界があり、その各々の世界で人々が暮らしているとかそんな感じ。ちなみに、昭和日本の世界から平成日本の世界に行ったり、はたまた他の国の世界に行くのも自由なんですね。
遠未来の話をしているのに、どことなく親しみを感じるのはこの世界観のせいかな。描かれる舞台は昭和や平成の日本ですから。と言っても、遠未来ということで、死者の出ない決闘”クイックハルト”や、模造人間など人間ではない者の生活、恋愛について描かれていたりと、テーマがポンポンポンと詰め込まれていましたよ。
疾風と千早の繰り広げるコテコテなギャグがSFには合うな〜。そんな二人の話が中心なので、この世界の仕組みなどは詳しく説明されません。この辺から大風呂敷を広げることも可能だったはずなのに、疾風が知覚できる範囲の小さな世界で閉じられているところがミソ。世界を自由に抜け出せて新しい生活ができることや、ゲームのような戦闘などの設定も意味深ですな。
最後に言っておくと、巨乳属性はないので「左様でございます」が口癖の近恵さんが私は好きです。ドジっ娘万歳。 


ブクマ感想集同著者類似バッチ
追記 元③ シックス・ボルト Amazon③ ジャストボイルド・オ’クロック Amazon② リバーズ・エンド Amazon① ぼくらは虚空に夜を視る Amazon
この小説が好きな人にお勧めする③
上遠野浩平さんの『ぼくらは虚空に夜を視る (徳間デュアル文庫)』世界の裏表が交錯する話。
橋本紡さんのシリーズ。『リバーズ・エンド (電撃文庫)』一巻と二巻以降では雰囲気違います。
うえお久光さんの『ジャストボイルド・オ’クロック』こちらは熱いヒーローもの。→感想
(追記)元③神野オキナさんの『シックス・ボルト (電撃文庫)』想像を絶する戦いに巻き込まれた高校生たちの話。