ヒールxミステリ


矢崎存美神様が用意してくれた場所 (GA文庫)ソフトバンククリエイティブ,2006   類似検索


GA文庫初読み。不思議なことを体験してしまう体質の少女・香絵の巻き込まれる事件(?)の数々を描いた連作短編集。設定的には角川ミステリ文庫のシリーズ(→感想)に近いかと思っていたら、ジャンル分けが難しい作品なのでどちらかいうとぶたぶたシリーズに雰囲気似てるかな。香絵は探偵事務所でバイトしているけどミステリってわけじゃないし……。そんなファンタジックな五つの話があります。
まぼろしの十字路」は、探偵を目指しているわけではないのでこれまで事件にはかかわってこなかった香絵が、ふとしたきっかけで関わるようになる事件。その依頼は、あるはずのない道に迷い込んでしまった主人を探してくれと言うもの。事件そのものにしても読了感にしても、ふわふわしているような感じの話でした。この話以降、身の危険を感じている女からの訴えで始まり、章題通り脆く繊細なイメージで終わる「脆い女」や、すれちがっただけだけども運命を感じた彼を探してくださいという「すれちがいの気配」あるいは香絵の先生からの一通の手紙から始まる「湖の秘密」など手を変え品を変え様々な事件に遭遇します。そして、最後は探偵の小向さんと締めくくる「神様が用意してくれた場所
一番私好みの話は、コメディっぽく始まりつつ簡単には終わらない「すれちがいの気配」かな。ともすればダジャレな話になっちゃうのに、うまく料理されていると思います。全部を読み終わって、なんとなく「あなたは一人じゃない」みたいな印象を受けました。香絵ちゃんの成長物語としても面白かったです。


③ ネペンテス Amazon② 土くれのティターニア Amazon① ぶたぶた Amazon
この小説が好きな人にお勧めする③
①矢崎さんの『ぶたぶた』シリーズ。ぶたぶたさんの愛らしさが世界を救います。→一巻感想
増子二郎さんの『土くれのティターニア』こちらもジャンル分けが難しい連作短編集。→感想
清水マリコさんの『ネペンテス』不思議感覚な連作短編集。→感想