これはこれで好みですミステリxヒール


水原佐保『青春俳句講座 初桜角川書店,2006   類似検索


第9回角川学園小説小説大賞・優秀賞受賞作品。高校一年生の女の子・水原さんが俳句の師匠・花鳥先生と日常の謎に挑む作品。北村薫さんの「円紫さんと私」シリーズに似ているということで手にとってみました。確かに一人称は私だし、日常の謎だしで似てると言えば似てる。違うところといえば、落語と俳句の違いなのか、文章がきれいというより硬めな感じ。あと、読了後にまで毒っぽさが残る話はなくほほえましい気分になれます。
」隣のクラスからカンニングができるかどうかという謎。「」家に謎の手紙が届き始める謎。「雛祭」お姉ちゃんの彼氏が突然逃げ帰った謎。この三つの話が収められています。俳句は落語以上に知識がないので、事件の過程で語られる先生の俳句の話も面白いです。季題に学校生活やお酒がたくさんあるだとか。俳句に絡めて語られる花鳥先生の人生観も魅力的。花鳥先生の同級生・木馬さんの「来るものは拒まずでたくさん種を蒔きゃあいい」の言葉はすごく共感しました。
固い少女と思わせつつ、「桜餅をミキサーにして食べてもおいしくないだろう」など所々で素敵な発想をする水原さんの成長物語としても楽しいです。花鳥先生の過去も気になるし、続きがあるならぜひ読みたい。マニアックな文学路線の謎は勘弁して欲しいですけどね^^今回は三つとも完璧に巻き込まれ型の事件なので、水原さんがふと気づいた謎の話なんかも読めるとうれしいな。


③ 氷菓 Amazon② 占い師はお昼寝中 Amazon① 空飛ぶ馬 Amazon
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