健康的な笑いを求める人はぜひコミカルxミステリ


福田栄一玉響荘のユーウツ (トクマ・ノベルズ Edge)徳間書店,2005


福田さんは初めて読むことになるのかな。ドキドキしながら読みましたが、表紙から漂うコメディ要素が裏切られることはありませんでした。だいたいの筋書きは、借金に困っている主人公が遺産としてアパートを相続しますが、返済期限が迫っているので住人たちの退去届けを四日間の内に手に入れなければならなくなる……というもの。
設定や表紙の雰囲気からして私の好み。四日間という時間制限もあるし、最初から最後まで止まることなくハイスピードな展開です。挿絵もついているし、天然なメイドさんが出てきたりとラノベっぽい雰囲気もあります。
六人から退去届けを手に入れなければならないのですが、それぞれ出て行きたくない理由を持っており一筋縄にはいきません。それぞれの問題を解決するために奔走する主人公が愛らしいです。でたらめな住人達が抱えるでたらめな問題が絡み合っていく様子は読んでいて楽しいですよー。
主人公の悪知恵を働かせた奮闘ぶりや住人が一致団結する流れなど読んでいて痛快です。何も考えずに勢いに任せて読んでも楽しい時間を過ごさせてくれる、そんな一冊かと。こういうコメディは大好きなんです。


③ 世界の中心、針山さん② 陽気なギャングが地球を回す① あきらめのよい相談者
この小説が好きな人にお勧めする③
①剣持鷹士さんの『あきらめのよい相談者 (創元推理文庫)』表題作をアンソロで読んだような。異なる相談が最後は一本になります。
伊坂幸太郎さんの『陽気なギャングが地球を回す』銀行強盗団が思わぬ事態に巻き込まれます。→感想
成田良悟さんの『世界の中心、針山さん』独立した短編が最後は収束していきます。→感想