怒っていいのか笑っていいのか。それが問題だホラーxギャグ


ジェレミードロンフィールド『サルバドールの復活〈下〉 (創元推理文庫)東京創元社,2005   類似検索


古城を舞台にしたゴシックホラー小説の完結編。嘘の発覚など、徐々に女城主・ジュヌヴィエーヴの怪しさが見え始めてきます。前回同様、材料がバラバラに並べられるのですが、すがすがしいほど関係のない材料なんかも混じってたことに、読み終わってからようやく気づかされましたよー。今後の展開になにか関係があるだろうと思って頭の中に留めておいたものが、まったく役に立たなかったりorz それにしても、上巻と下巻でこんなに印象が変わった本も珍しいです。
いやはや、女城主がベスやオードリーをなぜ城に引き止めていたのかという謎が解明されてくるわけですが、本気で驚きました。普通のミステリを読んで感じる騙されたっていう印象はなく、単純に驚愕。タイトルでもあるサルバドールの復活も意味も明かされ、もう唖然とするばかり。
母親の役割とは――その人生の目的とは――いつだってかならず誤ったことばばかりを口にすることだ。」にはすごく納得。なにせサルバドールの母親(=女城主)の怖さ、盲執さは読んでるだけで十分に伝わってきますから。いくらお金持ちでもこんな家に生まれんでよかったかな。
えぐいまでの心理描写に、不気味な雰囲気漂う城の情景、ミステリアスな城主に執事……本当に様々な具材が放り込まれたこの本も、存分に味わいつくすことができたと思います。もうおなかいっぱいです。ごちそうさまでした。