高校生はみな何かしらのミッションに挑んでいるんだ(いいこと言った)ギャグxラブ


田中哲弥ミッションスクール (ハヤカワ文庫JA)早川書房,2006   類似検索


電撃hpで掲載されていたものを含む短編集。田中さんの小説はやみなべ以来だから久しぶりに読むな〜と思っていましたが、帯をしっかり見るとそもそもやみなべ以降本を出されていなかったみたいです。七年ぶり。久しぶりなのは自分だけじゃない模様。五つの話が入っていますが、どれも高校生を主人公にした物語です。三つ目のステイショナリー・クエストだけは雑誌で読んでいました。
極秘任務を遂行する「ミッションスクール」おばかな呪いを描いた「ポルターガイスト」鉛筆などの備品を獲得するために壮大な冒険に挑む「ステイショナリー・クエスト」突然とんでもない能力を手に入れてしまった女子高生の話「フォクシーガール」沈没し始めた学園での出来事「スクーリング・インフェルノ
どの物語も方向性としては同じです。ジャンル分けとしてギャグにしていますが、大笑いしたわけではありません。笑うには唐突過ぎてどこで笑えばいいのか悩む話ばかり。何かあるんじゃないかと文章の裏側を無理やり読み取ろうとしてしまう感じ……ってこれじゃ伝わらないかorz くだらない話ばかりのはずなのに、最後の話のクライマックスでは危うく涙が出るところでした。なんだろう、悲しいわけじゃないんだけどごみが入っちゃって涙でたに近いかな。
毎回のように裸などの描写がありますが、エロくはないです。田中さんは吉本興業の台本作家をやられていたこともあるみたいで、どの物語も吉本の舞台の雰囲気があるような。もちろん、舞台と違って人の動作はなく文字だけの情報ですから、舞台なら爆笑するようなところもシュールな感じにまとまっていますが。
ライトノベル作家さんが書かれた作品で似ているのは、桜庭さんの「辻斬りのように」ですかね。って作品は一般文芸ですか。この本が電撃ではなくハヤカワ文庫で出版されたのもうなずけます。……でも、今の電撃は「ライトノベルをぶっ壊せ」でしたっけ? だとしたら、電撃で出てもよかった気がします。「ぶっ壊す」ではなく「沈没させる」かも知れませんが、それはそれでよし。


③セカンド・ショット② Sweet Blue Age① やみなべの陰謀
この小説が好きな人にお勧めする③
①田中さんの『やみなべの陰謀 (ハヤカワ文庫JA)』一両を巡るそれぞれの短編がやがて一本に?!
②『Sweet Blue Age』上の桜庭さんの作品を含む青春文学アンソロジー。→感想
川島誠さんの『セカンド・ショット (角川文庫)』スポーツと性と青春をメインに据えてる川島さんの短編集。