月曜日は水玉模様 <ピックアップ7>


加納朋子月曜日の水玉模様 (集英社文庫)集英社,2001


主人公であるOLの陶子さんと、調査員の萩のコンビが様々な日常の謎を解き明かします。連作短編集。最初は逆だと勘違いしていた探偵と助手の関係がいい感じ。推理小説ですが謎解きメインというより、企業が抱えるジレンマだとか女の人からみた職場環境が中心に据えられていると思いました。
月曜日は盗難事件。火曜日は薬の手違いから始まる事件。水曜日は萩の過去話で木曜日はOLと子供の話。金曜日はアリバイの話。土曜日はババロアと新幹線の話。日曜日は野球の試合と消失の話。
うーん中小企業の経営者も大変なのですね。解決してもすっきりしないのに納得するという奇妙な気持ちになりました。企業に入るのに誠実過ぎるのはあかんってことかな。少なくとも世渡り上手とはいかないようです。
主人公の後輩も絡んでくるのですが、私は一年経つと先輩に助力を仰ぐ後輩の立場になるのだから、気をつけないといけないなと思いました。すなわちケアレスミスを減らし迷惑をかけすぎないように。気をつけてどうにかなるものだといいのですが。「オヤジのハートも複雑なのよ」の一言がいいスパイスかと。
……自分が正しくても、それをきっちり証明できないとだめだなんてやりきれないな。むしろ証明できてもだめな場合も社会にでればあるんでしょう。野球部分は推理抜きにして楽しくよめました。日曜日の話を読んでいて確信したけれど、陶子さんとこの社長さんがかなりの食わせ物です。
とにもかくにも、謎解きの後にある陶子の独り言みたいなのが一番印象に残っています。社会にでたら酸いも甘いもあるぞ、ってことを感じられただけでも読んだ価値があったと思いますよ。


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