奥田英朗サウス・バウンド角川書店,2005


連載されていた第一部は東京を舞台に。書き下ろしの第二部は沖縄を舞台に上原一家のお話が書かれています。主人公は小学六年生の上原二郎。ちなみに、父親は一郎。二郎はいたって普通の生活がしたいのに、父親は普通の父親ではなくて悩みまくるのが話の筋です^^
二郎が家を飛び出すところやアキラおじさんに連れられて作戦に参加するところもドキドキします。普通の生活とは遠いところにある出来事ですね。
父親の一郎のキャラに引っ張られているんですが、医者の伊良部のときとは違ってわりと反発を食らうキャラかもしれません。以前、活動家だったこの父親はやりすぎなところも多々ありますし。まあ読み終えると味のある人物だったなと思えますね。ああ後、学生活動の雰囲気とか「糟糠の妻」とか難しい言葉の勉強にはなります。
二郎君の心理面での変化も見物です。日常を愛するキャラだったはずなのに、段々と物事に対するスタンスがずれてくるのです。その変化も父親に感化されたの一言ではすまないのもいいなと思います。なんとなくですが。
沖縄の人たちが本当に魅力的に描かれています。また沖縄に旅行へ行きたくなってきますよ。ジャングルで暮らそうとはさすがに思いませんけどね。


この小説が好きな人にお勧めする③
③ カスタム・チャイルド② 反乱のボヤージュ① 空中ブランコ
①奥田さんの『空中ブランコ』肩肘張る必要のない小説です。直木賞受賞作。
野沢尚さんの『反乱のボヤージュ』こちらは寮の存続をかけて戦います。→感想
壁井ユカコさんの『カスタム・チャイルド』隠れた良作だと思うのですよー。→感想