山田正紀マヂック・オペラ --二・二六殺人事件 (ハヤカワ・ミステリワールド)早川書房,2005


昭和を描くオペラシリーズ第二弾。内容は「検閲図書館・忌一郎とは何者か? 二・二十六事件の真相とは?」ちなみに私は前作読んでません。読んでたほうがいいのだろうか。
序盤から昭和の雰囲気ばっちりです。ゴシック小説のような描写・文体も特徴的です。
主人公・志村の視点以外にも「感想録」とか「映画」とかで主観がごちゃ混ぜに出てくるので、序盤は展開もちょっと分かりづらいかも。しかも難しい漢字が使われているので、途中なんとなくで読み飛ばしてしまった単語も(汗)
タイトルにもあるように二・二十六事件を扱ってるので、歴史の勉強にもなった感じです。
特に私は二・二十六について名前くらいしか覚えてませんでしたし。
検閲図書館の意味だとか二十面相が出てくるあたりで物語は熱くなり始め、同時に全体像も分かり始めてきます。まったく関連のない出来事だと思われていたものが重なり始めるのはぞくぞくします。でも、これ第二部からなんですよね。第一部が二百三十ページ近くあるのを考えると道のりは長かったです。
といって、第一部を削ったら背景がよく分かりませんし……。覚悟をきめて読みましょう。その価値はあります。


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