東野圭吾容疑者Xの献身文芸春秋,2005


このミス1位だけではなく、つい先日直木賞も受賞された作品。
高校で数学を教えている先生でもある石神が、愛する女性のために暗躍するお話。巻末の作品紹介を読んでいて思ったのですが、探偵ガリレオや予知夢で登場している物理学者湯川のシリーズになるのでしょうか? 読んでないので分かりませんが。
見事にだまされました。正月にやってた古畑さんじゃないですが、犯人は分かっていてもトリックが謎のタイプ。これがまたすごい。天才。本当に騙されがいがあります。
数学者の石神と物理学者の湯川のやりとりもいい感じです。べったりしてないのに、信用しあっているタイプの関係に。以前はそんな風に思っていませんでしたが、最近こういう付き合いかたに憧れ始めています。高校を卒業して同窓会とかやるようになってからかな。
話の脱線ついでに、内容と関係のないところでつっこみを。途中で湯川先生が駅近くに止めてあった自転車に無断で腰を降ろしたとき「持ち主は駅に降りていったから三十分は戻ってこないよ」みたいなことを言いましたがその推理は危ないです。私は定期の更新のためだけに駅に降りることもありますから。数分で戻ってくる危険性もありますよ〜。いや、本当にどうでもいいことなんですがorz
話をもどして。推理小説ってどうしても文章に恋愛小説みたいなやわらかい表現が使いづらいですが、東野さんはそれをうまい具合に克服してますよね。巧みに想像の余地を残すやり方というか。自分で考えた文章以上にしっくりくるものはありませんし。
この話も『秘密』同様、男女で結末の感じ方が違ってくるような気がします。女の人にも感想を聞いてみたいですね。とにもかくにも、有意義な時間が過ごせました。
(追記)感想を見て回ってるときに発見したもの〜「恒星日誌
なんでもこの作品が本格であるかないかの論議だとか。小難しそうな感じがしていて、本格と言われるものをあまり読んでいないので私にはなんとも。はてさて、本格の定義を自分で見つけるほうが難しいか、それとも二階堂さんが提出した答えを確認するほうが難しいのか。


この小説が好きな人にお勧めする3
3 12月のベロニカ2 すべてがFになる1 秘密
1、映画にもなった作品。東野さんの『秘密』こちらもある種の愛の話だと思います。→感想
2、長いシリーズとなる最初の作品。森博嗣さんの「S&Mシリーズ」理系大学(および教授)の描写はピカイチだと思います。→感想
3、ファンタジア長編小説賞大賞受賞作品。貴子潤一郎さんの『12月のベロニカ』ファンタジー作品ですが、根幹に通じるものはあると思います。→感想