中西秀彦『本は変わる!―印刷情報文化論東京創元社,2003 Amazon


就活用に読んどきました。印刷業界に関係する本です。
印刷技術そのものについて書いてある本だと思っていましたが、読んでみるとなかなか興味深い内容も含んでいました。前半が印刷技術(及びその歴史)後半がマルチメディアとかに関する内容です。
大日本と凸版、日本写真の有報を比較分析していたので、多少は知っている業界だったので読みやすかったのもタイミングがよかったです。
五年前くらいまでしか情報を拾ってなかったので、印刷技術の歴史が特に面白かったです。写植とか一度現物を見てみたいな。写植が活躍していた二十年も前はほぼ手作業だったようです。
パソコンが導入されるようになっても、CTPができる以前は版元を人の手で作っていて、時間もかなりかかっていたようです。CTPを経て完全にオートメーション化を目指したのが、聞いたことのあるオンデマンド出版だとさ。それまでは、プリンターのようにそのまま印刷とかできなかったようで。今でこそ家にプリンターがあるのは珍しいことではありませんがね。オンデマンドのおかげで数百部などの少数印刷でも採算が取れるようになってきたとか。同人作家にはありがたいのかな。
ただ、弱点としてハードカバーにできないことなどがあるようですが。
段々マルチメディアへと移行を始めていますが、特に成功例はないみたい。今のところ、作家さんの文章をネットに載せるようなことをしても、やっぱり本のほうが強いようです。本でできることをわざわざネットにしなくても……と著者の中西さんは言っています。まあ、確かにネットで小説を発表するよりゲームという形にして出したほうが食いつき良いのですが(関係ないか?)
読み手より書き手が多くなってきているという話題に関連して、「本の部数減に反比例して、ページ数は増大する一方」との指摘が。……ああ、だから終わクロの最終巻はあんなに長いのかw
後、この本は東京創元社から出されているので、多少それっぽいですよ。
公報までもが紙媒体の形をやめたりと、印刷業界も変革が進んでいたり、求められていたりしますが、大変なようです。
ちょっと面白そうだなと思ったもの→Book Park内の小松左京全集について。