殊能将之黒い仏 (講談社文庫)講談社,2004 Amazon


私にとって、殊能さんの本はこれで二作目なんですが前回同様やられました。確実にいえることは、まじめなミステリファンは読んじゃだめってことでしょう。時刻表を解き明かすのを面倒くさがったり、探偵が話の中に入れず仲間はずれになってたりものすごい特殊。
それでも主人公の名探偵・石動は徹底的なまでに探偵っぽいです。懲りすぎなまでに探偵です。中国人の助手もいい助手っぷり。二人の掛け合いは面白いです。
謎には仏像とかお坊さんとか漢詩とか絡んでくるので、祟さんっぽい雰囲気も持ってます。殺人事件も途中でくっついていい感じ。
まあ、それも幕開けならぬ「墓開け」が出てくるまでですが。そこからいっぺんに話の流れが変わります。探偵ものではなくなってしまうのです。
もうちょっと長く料理できるようにも思いましたが、とりあえず笑いましょう^^


この小説が好みだった人へ、私がお勧めする③。
③ 名探偵の掟② QED−百人一首の呪① ハサミ男
①殊能さんの一作目。『ハサミ男 (講談社文庫)』最後の種明かしは圧巻。
②同じくメフィスト賞出身。高田崇史さんの『QED 百人一首の呪 (講談社文庫)』こっちも殺人事件はわりとそっちのけです。
③ミステリを皮肉る作品。東野圭吾さんの『名探偵の掟 (講談社文庫)』こちらは斜め読みとはいえミステリですが。