恩田陸球形の季節 (新潮文庫)』新潮社,1999 Amazon


恩田さんの高校生シリーズ二作目なのかな。ノスタルジックな雰囲気が最初から最後まで続きます。謎のすべてが解明されないところも、慣れてしまえば大丈夫でした。
閉じられた田舎町。あちらこちらにある不思議な石。奇妙かつ具体的な噂。ここではない場所。そんな単語が並ぶ、私にとっては読んでいて思わず動揺する物語でした。
風景描写を通して心情を表すことが嫌いな方もいるかもしれませんが、私は好きです。恩田さんが作り出す不安定な状況は、共感する部分もいくつかあってなかなか……。デビュー作『六番目の小夜子 (新潮文庫)』(Amazon)で使われている噂のまつわる話が今回も。噂って、奇妙な魅力がありますよね。