みおちづる『ナシスの塔の物語 (青春と文学)ポプラ社,1999


少女海賊ユーリを書かれている、みおちづるさんのデビュー作。
てっきり指輪物語のようなファンタジーを想像しており、「ナシスの塔」と言う場所で大冒険を繰り広げるのかと想像していましたが、違いました。どちらか言うと、塔を作り上げるほうかな?
序盤は主人公リュタの子供っぷりが描かれていて楽しいです。親に怒られたりしたときはこんな態度とってたなあとか。ほほえましいです。
少女海賊ユーリ
面白い固有名詞とか出てくるところは、電撃好きな私としては『ひかりのまち―nerim’s note (電撃文庫)』を思い出しました。街見たく幻想的な雰囲気ではありませんが、力強いです。周囲は砂漠ですし。
ユーリシリーズでは勧善懲悪ものとしてすんなり読めますが、この物語はそうではないかも。悪役が完全に悪役になれていない印象をもつのです。それは、リュタの心の成長を中心にすえているからでもありましょうか?
前者のシリーズでは味方のユーリが過去の行いをさいなまれる話ですが、これは過去の過ちを描いてる部分だと思いたいです。
つまり、この話では悪役として登場した人もいずれは道に目覚める……と信じたいのです。