フリーター、家を買う。

フリーター、家を買う。  Amazon
コミカル5燃える3鬱2
有川浩フリーター、家を買う。幻冬舎,2009
有川浩さんの作品感想




自宅を出ず、漫画とゲームで遊び倒しフリーター暮らしをしている誠治が、重度の鬱病にかかった母親を目にすることから始まる物語。
母親が一身に背負っていたいじめは、読んでて苦しくなってきました。図書館戦争でもそうでしたが、危険でグロい描写も有川さんが描くとライトな感じに仕上がりますが、ちょっと想像力を働かせると気分が悪くなりますね。
父親も相当ですが誠治も頼りないので、姉の亜矢子だけが安心感を与えてくれます。誠治については最後の一点で崩れないという点で、父親よりもいい印象を持てますが、加減の問題だよなと思ったり。
と言いますか、周囲の人の問題を見過ごしてしまうなんてことは、私自身にもすごく当てはまるわけで。そう考えると、誠治をいいやつだと判断してしまうのは、自己擁護的な部分もあるのかと思ったりも。
バイト先のおっちゃん達に、助言を素直に聞けるところは好印象ですね。まあ、自分も誠治と同じような生活しているので、自分の身を振り返らなきゃいかんわけですよ。


日経ネットに連載されていたもので、中盤からはお仕事の話になります。私もなにやら今年社会人4年目らしいので、色々見えてきた部分も。事務屋さんがマクロや自動化ツールを使えるだけで、無茶苦茶楽になりますよね。
誠治はあれよあれよと頑張り始め、採用活動では自分の経験を生かします。最後には有川さんらしい恋愛話もあり、存分に楽しめましたー。


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