煉獄のエスクード③

煉獄のエスクード③  Amazon
燃える⑤ミステリ③コミカル②
貴子潤一郎煉獄のエスクード〈3〉RHYTHM RED BEAT BLACK (富士見ファンタジア文庫)富士見書房,2006


魔族と人間の戦いを描いたシリーズ三作目。表紙の子のチラチラ見える白い部分に、やたらと妄想をかきたてられたので食い入るように見てました。そんな私はダメでしょうか?


前回はフィンランドの村でしたが、今回は日本の学校で潜入捜査をすることに。そこで、ケルベロスの白骨を発見するところから、事件は始まります。
薫のパートナーとして、魔術師教会からルーシアという名門貴族出身の娘がやってくるのですが、前巻に登場したクラウディアの弟子なので一癖も二癖もあります。初登場の第一声が「跪きなさい、この虫けら」ですからね。しかもドジっ娘。かわいい。
クラウディアさんからの「アドバイス」も受けており、薫は予想もしない展開に慌てふためくことになりますよ。


予想もしない展開といえば、薫たちは学校から古いお城に吹っ飛ばされてしまいます。どうしてここにいるのか、どうやってここを逃げ出すのかを考えているところが見所。何とか目星をつけようと、薫とルーシアのコンビが奮闘するのは面白いです。
薫たちと同じく、白骨を調べにくる使徒・ヴァルデリーの欲望への忠実っぷりはもう感心する。二言目には、「私と寝たい?」と真面目に聞いてくるくらいですから。
人を殺しまくるし残虐ではあるんですが、なんか愛着わいてきちゃうのは一時の気の迷いでしょうか。……殺されてもいいから抱いてみたいとかじゃないですよ? 最後のセリフにキュンとしちゃったんですよね〜。
そうそう、薫の兄代わりでもある真澄さんも、今回はメインで登場してます。ルーシアと真澄のやりとりも途中であるのですが、そこもよかったなー。コテコテだけどさ。


比較的穏やかな感じの話だと思いました。巻を重ねるほどに好きになっているシリーズかも。でも、結末を見る限りやたらと強そうな敵がまだまだいるんだよね。一巻の鬱っぷりがいつ再来するかと、期待混じりの不安でいっぱいです。
とりあえず、今回はルーシアの騒動を読めてよかった。華やかさがあっていいですね。薫とルーシアが共に行動するところではラブコメっぽい感じもあり、重苦しい雰囲気の中で助かりましたよ。
表紙の女の子がルーシアなんですが、変態魔術師のグレイエスに魔法で身動きを封じられ服を切り裂かれる場面は特にお気に入りです。……やっぱり私、ダメダメだ。


貴子潤一郎さんの作品感想