扉の外

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シリアス⑥ミステリ②SF②
土橋真二郎扉の外 (電撃文庫)メディアワークス,2007


第13回電撃小説大賞・金賞受賞作。眠りから醒めると、一つの部屋にクラスメイトたちが押し込められている話。
人工知能のソフィアから、ルールを守って生活することを提案されますが、主人公の紀之は群れるのが嫌という理由でただ一人ルールから外れます。提案されるルールは、戦略ゲームみたいな感じですし、物語自体もシュミレーションゲームみたいです。
どうして閉じ込められているのかとか謎解き要素よりも、人物達やクラスごとの動きが、一見反骨精神にあふれているようでただ流されるままの傍観者・紀之の視点で語られます。


クラスの委員長・和泉が可愛いな〜。最初は嫌なやつって描写でしたが、会話をしだすと途端に魅力があふれ出します。なにこの無機質感漂う物語の中でひときわ輝く可愛さは。逆に紀之が嫌なやつになりさがるけど仕方ないよね。眠っている和泉のパンツを飽きるほど眺めたりとか、いい思いをしてるんだからさ。
ネタバレ無視して列挙してみると紀之の暴挙はたくさんある。
和泉を言いくるめて下着姿にした挙句一緒にシャワーを浴びたり、クラスメイトの亜実とシートの中や学校の屋上など所構わず犯りまくった挙句それを和泉に見せつけたり、女神と称される愛美の唇を奪った挙句泣かせたり、嫌がる幼なじみの蒼井を廃墟で裸にひん剥いた挙句ガムテを使用して鬼畜なことを……やんちゃだな。つか、キャラクター紹介されてる女子全員に対して何かしてるじゃん。


各クラスがそれぞれ独自の体制を築いているのが楽しいし、どうやって終わらせるかの話し合いとかもよかったです。思惑のぶつかり合いはあんまりなかったけど、透けて見えてニヤニヤできる。場面場面を見ても全体を通しても、シュミレーションとかサークルとか書きたい方向性は明確に示されているのである種の読み解きやすさはあります。
私がこの空間に放り込まれたらどうなるかな〜。とりあえず紀之のようにやんちゃはしないし、女性陣のようにクラスを引っ張っていく立場には絶対ならないと思うのでその他大勢になるわけですが。
う〜ん、周囲に賛同する一員かなやっぱり。他人とはずれる嫌だし、なによりルールから外れることに人一倍恐怖感を持っていると思うので。ゲーム的な感覚は楽しいと思うし色々考えはするだろうけど積極的には動かず、結局それなりに議論に参加しつつも部屋からは出ないでしょう。で、そのうちクラスメイトのおんにゃにょことごにょごにょできればいいや。


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