追想五断章

追想五断章  Amazon
ミステリ7シリアス3
米澤穂信追想五断章集英社,2009
米澤穂信さんの作品感想




大学を休学中で、古本屋を営む伯父の家で居候をしている芳光に、ある作家の小説を探して欲しいという依頼が舞い込んできます。依頼される作品は、結末の抜けたリドルストーリーです。
一連のストーリーには微妙に似た雰囲気もあり、このラインの話があまり好きではないのに読みたい私としていい塩梅。見たくないのに読みたいんですよね、こういう嫌らしい話。基本はのんびりまったりが好きなので。


軽い気持ちで始めた調査ですが、作家の生い立ちや依頼人の素性にまで踏み込んでいくことになり、否応なしに外へと目が向いていくわけで。
追い求めた真実は、鬱々とした気分となるのと心が晴れやかになるものの中間辺りの微妙さ。表紙を見返すと、むずがゆい気分になります。
新しい記憶を過去に追い求めるのは時間の無駄。リドルストーリーに新しい解釈を探すより、自分で物語を書いたほうが納得できるのかも。名探偵でもなければ、誰もが納得する結末を導き出すのは無理でしょうから。


この小説が好きな人にお勧めする3
1 儚い羊たちの祝宴  Amazon2 重力ピエロ  Amazon3 サクリファイス  Amazon
1、米澤さんの小説『儚い羊たちの祝宴』最後の一行にこだわった作品集。→感想
2、伊坂幸太郎さんの小説『重力ピエロ』放火の行方と兄弟の会話を描いた作品。→感想
3、近藤史恵さんの小説『サクリファイス』こちらは燃える話でもあります、が。→感想