あるキング

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シリアス8癒し2
伊坂幸太郎あるキング徳間書店,2009
伊坂幸太郎さんの作品感想




弱小球団・仙醍キングスの熱心なファンである両親の期待を背負い、また運命を背負った王求の物語。不思議な予言を告げる三人の魔女など、ファンタジー要素が満載です。
最初は王求が不気味な存在だなと思っていたのですが、両親の意向に逆らってもプロ選手に挑んだり、仲間と下らないやりとりに精を出すのが微笑ましかった。運命に沿って動き続ける装置ではなくて安心したのです。


王求の偉人伝のシリーズについての言及「偉くなったのは大人になってからなのに子どものときの心情が克明に描かれているのか」などは、こしゃまっくれた感じがして私としては好感触でした。
途中からは正直、物語的に、運命に縛られているのが可哀想だとも思いました。ただ、悲しみで物語がまとめられているわけでもないのが、不思議な感触の物語でした。
時間経過など含めて色々と圧縮されている印象。ゴールデンスランバーみたく、確かに存在するけれども明確には思い描けないモノを書いたと考えると、ちょっと納得できるかな。


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1 魔王  Amazon2 赤朽葉家の伝説  Amazon3 ミノタウロス  Amazon
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