先生、カエルが脱皮してその皮を食べています!

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小林朋道『先生、カエルが脱皮してその皮を食べています! 鳥取環境大学の森の人間動物行動学築地書館,2010
シリーズ感想
小林朋道さんの作品感想
カエルがヘビを威嚇したり、人間が赤ちゃんをかわいいと思ってしまうのは、全体のイメージからではなく一部の刺激に対して起こる「鍵刺激」というものらしい。
そんなわけで、思いつきで講義を進める小林先生の姿が描かれています。ヤギコの脱走など突発的に起きた出来事に対して、なんのかんのと屁理屈をつけて自分の行動を正当化しようとするその姿勢が見事です。
強引な論理の展開がすごいですが、小林先生に語られると、本当にヤギの脱走から芸術や創造性の話に展開するのが許せてしまうわけで。これは人徳なんでしょうか。


それにしても毎度のことながら思うのは、動物相手の実験は本当に根気のいる作業だなということ。万全に準備を整えても、対象の動物がどう動くかまでを完全には把握できないわけで。何度も繰り返す必要があるのだから、なおさらです。
モビングの話題が出た際に、人間が火事や事故の現場に興味を持つのは、危険な情報を共有みたいなのはどこかで聞いたかも。
ラジオ番組にイモリを持ち込む小林少年の行動力・純粋な好奇心には参りました。あとヤギのクルミがペガサスになる話は笑いました。ほんと動物は予想外にたくましいのですね。