初恋ソムリエ

初恋ソムリエ  Amazon
ミステリ4コミカル4癒し2
初野晴初恋ソムリエ角川書店,2009
シリーズ感想
初野晴さんの作品感想


部室への侵入者を追う「スプリングラフィ」は、新入部員を集めるために暴走する文化部の面々が最高。十分にしょうもなくて面白いです。
チカちゃんは新歓での超キュートな叫びだけでなく、なんだかんだで張り合ってしまうハルタとの掛け合いは今回も絶品です。図らずもラブコメのようなことやらかしたり、うっかりさんなチカちゃんは行動全てが笑いのツボ。
特に、職員室と音楽室を往復した朝一番にやってくるかわいそうな吹奏楽部員には、思わず吹いてしまいましたよ。本書の魅力の半分はチカちゃんの可愛らしさでできているといっても過言ではないです。


浮世離れした謎のラジオ番組を追う「周波数は77.4MHz」は、七賢者の回答が含蓄を含んでいるのかいないのか微妙なラインでくすぐったい。お話もレインボーガーネットに負けないくらいに綺麗にまとまっていたなー。
一ヶ月に3度も席替えをした謎を追う「アスモデウスの視線」は、コミカルな会話の中に隠された伏線らしきものを発見したときはうれしかったし、一つ目の謎は解けたものの、大事な謎が解けなかったのが無念で嬉しい。


初恋相手の過去を追う「初恋ソムリエ」は、初恋ソムリエというインパクトがあり胡散臭さも詰まった設定が素敵。最初の話で登場した、芹澤さんも再登場し痛快なツンデレっぷりを披露してくれます。
持ち味であるコミカルなやりとりと専門的なロジックが駆使してあり、ミステリ的にはこの話が一番面白かったです。そうそう、草壁先生の謎の経歴はいまだ解明されていません。おいしいものは最後ってところでしょうか。